クリキが語る!

「会社はテーマパークだ」

日本システムデザインの社長、栗城仁が語る「生き方・働き方」

第4回「諦めないことが大切」

考えること、悩むこと、それを担うからSEの価値が高まる。

 

私が大切にしていること。

諦めないこと、ですかね、第一番には。

例えば、かなり厳しいシステム障害を出したら、3日、1週間、1カ月……と徹夜しようが、何をしようが、とにかく解決しなければなりません。ここで諦めてしまったら、システムも安定しませんし、お客様からの信用もなくなってしまう。それをやり遂げることによって、お客様からの信用をようやく勝ち得るわけです。お客様はトラブルを出したからといってすぐダメとは判断しません。トうブルを出した後、我々の対応を見ています。

どんなに出来る人でも、100%完璧なシステムは作れないのです。必ずバグが存在する……。そのバグが出た時にどのように対応するのか、ここが重要なんです。諦めたら、思考回路が止まってしまうでしょう。私は諦めなかった……いろいろあったけれど、粘り強く、粘り強く。

昔、ある会社の偉い人に問われたことがあります。

「SEという仕事は何か?」と。

当時の私はうまく答えられなくて、「何ですかね〜?」と言うと、その方は「考えること、悩むことじゃないのか? それを担うからこそ、君は仕事の単価が高いんでしょう」と言うんです。「指示されたことをやるだけだったら、ワーカーでいい、ブログラマーでいいじゃないか」と。

悩んで、考えて、進めること、それには何事にも諦めないことです。
諦める方が楽ですよね。でも、逃げた瞬間から、誰も信用してくれません。

私には一緒になって苦労してくれる仲間がたくさんいました。公私共に、今、付き合っている人連はそれを共有して残った人達です。

そして、「想像力」の大切さもあります。

システムは生き物なので、運用していくうえで考えられないような障害が起こることもある。そういうトラブルを解決する時には、何がいけないのか「想像する」ことが、意外に重要なんです。よく「第六感」や「直感」などと言われますけどね。それを働かせるところまで行かないと、解決しない。そんな気がします。

どのようなやり方をしたらシステムは先に進むのか。開発や設計の段階でどのような試験をしたら、障害のないプログラムを作れるのか。それらが導き出されるのは、やはり想像力じゃないですかね。コンピューターと言えども、すべてを描いて表すことはできないはず。そうすると、バターンとかバリエーションをどう想像するかが非常に大事になってくると思います。

これは教えることもできるし、教わることもできます。会話をすることで気が付いていくことも多いでしょう。自分に足りないものを誰かの発言によって、「こことここが見えていなかったな」とか、「こことここが漏れていたかな」と、気がつくことですね。

人間って完璧じゃないので、多くの人と繋がっていく中で想像力を高めつつ、いろいろな知識を養っていくことになります。その結果、何にでも対応できるようになる。そう思います。

開発の現場などで業務に向かっている時は、お互い自分の世界に入り込んで、他人と会話なんかしないということも聞きますが、ウチはそんなことはないですね。「ああだ、こうだ」と会話しながら進めていきます。その会話の量が他社より多いか少ないかは、わかりません。でも、仕事はすべてひとりで、全てが出来るわけじゃない。人と人が繋がって仕事が仕上がっていくわけです。人との会話、コミュニケーション能力も大事でしょう。

例えば設計者が「あれが足りない、これが足りない」という会話をしてきたならば、「じゃあ、それを試験観点にしよう」と、これまでになかったバリエーションの試験観点が充実されていく。

この「試験観点」ということが、我々の世界では非常に重要な側面です。

卜うプルを出した時に、我々はお客様から「あなたどういう観点で試験したの?」と、常に問われる立場です。その時に、「我々はこういう観点で試験しました。でも、やはりこういう観点が漏れていたので、今回このようなトラブルが出ました。なので、次はこの観点を網羅しながらやっていけば、もっと質が高く、良いシステムが出来上がります」と、説得できなけれぱなりません。

私は、底力のあるSEを育てたいと思っているんですよ。

ウチの会社がボロボロになって、たとえ潰れるようなことがあっても、技術者として、SEとして、どこへ行ってもメシが食っていける。働いていける。そういう力があれば、この会社にいた意味があると思っています。